ボージョレ・ヌーヴォーはフランスの英知 2006/11/01 
11月の第三木曜日、ボージョレ・ヌーヴォー(略してBN)が全世界でいっせいに発売になります。わが国ではブームも定着し、いまさらの感なきにしもあらず。ところが見方を変えて、ボージョレという単独の地域で作られる早出しワインが世界を席巻したという点で、BNの日の成功は農業国フランスの面目躍如にちがいありません。

ブームの仕掛け人は、ネゴシアンと呼ばれる卸売商でした。戦後から20年たった60年代中ごろのこと。東京オリンピック前後から高度経済成長に突入した、わが国とよく似た現象がフランスにもあり、ワインの消費量もふえました。地域としては名醸ワインで知られるブルゴーニュの南端とはいえ、貧しいボージョレ地区の人気が、ネゴシアンたちの努力で急浮上。ワイン自体の品質の向上もさることながら、この地区にマスコミも注目。テースティング目当てのツーリストが、引きもきらずやってくるようになりました。レストランで注文するワインに悩んだら、ボージョレにしておけば無難という風潮も、このころに生まれました。

フルーティーで安くて美味しいボージョレ人気が追い風になり、BNの日が年を追ってメジャーになりました。そしてBNの解禁日が、お祭りとして本格化したのは85年から。それ以前は11月15日だったその日を、第三木曜日に設定。つまりお客さまにとっては、日にちより曜日が肝心というわけです。木曜日の会社帰りはわいわいがやがや、出たばかりのBNで乾杯。そして週末は親しい仲間を誘って、自宅で飲み直すというパターンが人々に定着。日付変更線のおかげで、本場フランスに先駆けて到着するBNを、ぜひお試しください。