日本人って、いいな! part-1 2006/12/15 
一週間ほど前に、キッチンのオーブンがついに壊れました。今年だけで三度、ジャマ精工のナカジマさんに直していただいたのですが、寿命です。使用年数は7年弱で、見た目はまだまだ使えそうでしたが、中身は限界。

茹ですぎ、煮すぎが禁物の和食にくらべ、私が来客時に作る田舎のフレンチは蒸し煮が多く、手間はかかりませんが、煮炊きに時間がかかります。加熱時間が数時間におよぶ料理も、珍しくありません。コンロもよく働いてくれて、豚肉加工品の代表のようなパテなら、4〜5時間。鴨のコンフィなどは、鴨のモモ肉を2〜3時間かけて油煮します。これだけ使えば元を取ったどころか、取り外したガス器具へのご褒美のつもりで、ワインをふりかけてあげました。

さて、これからが本日の本題。コンロとグリルとオーブンを買い換えるにあたり、今さらながら私は、日本人の仕事に対する真摯な姿勢を垣間みた思いでした。故障したオーブンをなん度も、丁寧に修理してくださったナカジマさんと、新品を設置してくださったエノモトさんとカワダさんの、日本人ならではの緻密さに感動。

「それが彼らの仕事なのだから……」といわれそうですが、だとしたら私は「世界中で、これだけいい仕事をする方たちは日本人以外にいませんよ」と申しましょう。フランスで暮らした20年間のうち、5年ほどロンドンにもアパートを借りていました。彼の地でガス器具が壊れたこともあれば、新しく買ったこともあります。今回、作業中のお三方を眺めながら私は、かつてパリとロンドンのキッチンで、右往左往していた自分を思い出しました。

日本人にとって当たり前のことが、世界地図を広げれば稀有どころか、ありえないことになります。オーブンが壊れたお陰でまた一つ、日本人のいいところを発見。真新しいガス器具を前に、ルンルン気分で忘年会ができそうです。