ワイン作りに通じる、日本酒の世界 2007/04/01 
フランスのことならパリだけでなく、どの地方のことも知ってます。全国津々浦々、地図にない小さな村へも行きました。そんな私が、ここでこっそり独り言。「今度は日本のことを、もっと知りたい。そうだ、これからは日本の地方へ行こう。そこで暮らす人たちと、膝を交えて語りたい」とね。

酒どころ、秋田に行ってきました。昨年の暮れ、日本酒のデギュスタシオン(利き酒)を初体験した延長で、今回は寒仕込みを見学。伺ったのは銘酒、「まんさくの花」の蔵元で本格手作りがモットーの『日の丸醸造』さんと、県内随一の生産量を誇る『秋田県発酵』さん。酒作りの対極とみなされがちな二社ですが、酒造りに携わる方たちの心意気にちがいはありません。

日本酒の世界を覗きながら、私の脳裏にはたえずワイン作りの光景が去来しました。ともに醸造酒だからでもありますが、作り手さんたちの姿に日仏の共通点を見出していました。たとえば、お米とブドウで原料は異なりますが、名醸ワインの作り手さんたちはブドウの実をグシャグシャに潰さないように気を配り、蔵元の職人さんたちは蒸したお米の粒を潰さないように気を配ります。日仏の両国で職人さんたちが、寝ずの番で発酵状態を見守っています。硬く蒸しあがったばかりの白米の内に秘めたる甘味が、ブドウ畑でこっそりつまんだブドウの房の美味しさに、不思議と似ていました。

とはいえ、日本酒はワインのように世界的にメジャーなお酒ではありません。欧米やオーストラリア、アフリカなどで広範囲に作られているワインとは量的にまったくちがう。それに日本酒は学術論文ではないのですから、外国で認められればいいというものではありません。それより日本酒の本当の美味しさを、今の若者たちに教えてあげましょうよ。さっそく今年のお花見に、かっこよく一升瓶を囲んでみようではありませんか。