「焼きカレー」のこと 2007/11/15 

今回もまた、食べ物の話になっちゃいました、すいません。
一月ほど前、親戚の法事が山口であったついでに、門司に立ち寄ったときのことでした。ずっと長いこと、高校生のころに火野葦平の『花と龍』を読んで以来ずっと、若松という港町にいつか行ってみたかったので、この機会に寄り道したわけです。ところがところが、肝心の若松よりも門司がよかった。門司生まれの親友、外村ご夫妻がいらしたお陰にちがいありませんが、門司の旧港一帯がなかなか遊べました。

「レトロ地区」と呼ばれている地域は、たしかに観光色が濃いものの、大人でも楽しめました。なんといっても門司港は“バナナの叩き売り”発祥の地ですから。『花と龍』の主人公の玉井金五郎も沖中の棟梁から大親分になったし・・・、ああそうなんだ、バナナね。そんなことを思いながら、外村ママと「レトロ地区」をぽこぽこ歩いていたときのこと。あれあれ、おかしな看板がありました。まあ、食べ物のことをひっきりなしに考えている私らしいといえばそれまでですが、メニューに「焼きカレー」を掲げているところがやたらとあるではないですか。

ジッーと看板を眺めたり、観光案内所にあったパンフレットを裏返してみたり、それからというもの、「焼きカレー」が気になって仕方がありません。そんな私の要望を見透かしていたかのように、外村ママがご自慢のカレーを作っておいてくださった。カレーのままで美味しいのはわかっていても、やっぱり食べたい「焼きカレー」。というより、「焼きカレー」なるものがどんなものなのか、特製を焼いたらもっと美味しかろうにと欲が出てしまったというわけです。

東京に戻ってネットで検索して、それが以前からあったことを知りました。知らなかったのは私だけと思ってみても、やっぱり美味しい「焼きカレー」。それ用におしゃれなグラタン皿を購入し、翌日からGSの新メニューにもなりました。ライスカレーの真ん中にくぼみをつけて、生卵を落としてチーズをたっぷりかけてオーブンできつね色になるまで焼きます。いつものカレーとはまったくちがう、門司の味をぜひお試しください。