気持ち贅沢、スマートに節約 2009/08/15 

節約とか倹約という言葉が、私はキライです。その意味で拙著のタイトル、「お金をかけずに食を楽しむフランス人」は、食だけでなく生活全般で私の理想。タイトルの下の句になっている「お金をかけても満足できない日本人」と対で、いっそう現実味がまします。

どこにでもある食材を、いっぱしの料理に仕立てるフランス人の技法を、本著で目一杯ご紹介しました。とりわけ面白いのが単一野菜で作る一皿で、あなたの料理のレパートリーがだんぜん充実するにちがいありません。読んで美味しく、作って楽しいレシピのない料理集が、ズバリ本著のねらいです。それではお金いらずの、簡単にできる長ねぎのホワイト・アスパラを、ぜひお試しください。

太くて真っ白なホワイト・アスパラは、市場に出回る期間は春から夏までと長いですが、季節を感じるという意味でわが国の松茸や筍に匹敵。お値段もそれなりに高価なホワイト・アスパラにかわるのが、長ねぎのホワイト・アスパラ仕立て。またの名を貧乏人のアスパラガスと呼ばれていることからお察しのように、普段着のフランス料理の定番になっている前菜です。ご用意いただくのは、太い長ねぎの白い部分だけ。茹でるお鍋のサイズに合わせ、なるべく長くカットするのがコツといえばコツでしようか。ぐにゃぐにゃに茹った熱々の長ねぎに、自家製のドレッシングをたっぷりかけていただくと、貧乏人のアスパラガスと呼ばれ続けている不名誉もなんのその。この際ですから、自家製ドレッシングにも挑戦してください。あらかじめ塩を入れた酢と植物油を1:2の割合でよく混ぜたドレッシングにからしを加えると濃厚さがまし、さらに美味しくなりますよ。