安さ競争はまずいですよ 2009/12/15 

おかしな世の中になったものです。なにが変かといって、他人にたいする思いやりの気持ちが、日に日に削がれていっているような気がしてなりませんでした。ニュース番組で事業仕分けのプロセスを見聞きしていた数日前、ある新聞の記事に目がとまったのでした。朝日新聞の「ものづくりのテーブル」というコラムにあった、フッションデザイナーの滝沢直己さんの以下の文書から、久々の清涼感がただよってきた気がしました。

“事業仕分けのニュースを見ていたら、予算削減のため自衛官の制服を海外生産すればいいのではという議論が耳に入った。寂しい話だ。・・・フランスで国営美術館の仕事をしたとき、彼らは素材もすべてフランス製という条件を譲らなかった。・・・・。
 最近3けたの価格のジーンズが話題になる。その多くは価格だけが独り歩きし、どんなデザインで着心地はどう?なんて話題にもならない。そういう服はなぜか幸せそうに見えない。素材を織り、縫う人たちは何円の服だろうが愛情を込めて作っているだろうに。・・・。
・・・。消費者だって同じ品質なら安い方がいいに決まっている。しかし、消費者は価格を安くしさえすれば本当に喜んでくれるのだろうか。”

飛躍するようですが、パリやロンドンを旅したときのことを思い出してください。先進国は押しなべて、生鮮食品いがいはかなり高かったのではなかったでしょうか?ロンドンやパリのスーパーで、ティッシュペーパーをお買いになりませんでしたか?昼食のために飲食店に入れば、最低でも3,000円はかかります。ならばサラミとパンを買って、公園のベンチで食べましょう。ティッシュペーパーの一枚も、大切に使いましょう。制服が高価でも、使用期間を二倍か三倍に延長すればいいでしょう。事業仕分けがはからずも私たちに、私たち一人ひとりの価値観を問うことになったようで、新たな展開が楽しみですね。