三年がたちました 2010/06/15 
正直いって、感無量です。よく笑い、よく働いたとわれながら感心(笑)。と同時に、まだまだこれからだと思います。物書きの私が衝動的に焼き菓子屋をはじめてしまったわけですが、はじめてからが真剣でした。この三年、寝ても覚めても頭はGSのことでいっぱいでした。といっても、本業をないがしろにするわけにはいきません。にこにこで通しながらも、私の人生でこの三年ほど、意地を張ったことはなかった。意地というよりは、見栄といったほうがいいかも。若いころから妹によく、メンツのない女といわれてましたが、GSはものとお金にこだわらない私の、自分自身に対する人生最大の見栄だったかもしれません。期待と落胆がないまぜになった、爆笑の日々でした。そう思うとヒロコちゃんとマサノちゃんに、なおさら感謝心が募ります。

神楽坂で仲良くしている料亭の女将さんにいわれた、「あんた、石の上にも三年だよ」の一言が、どんなに励みになったことか。諺の真意を無視して、三年すぎればどうにかなるものなんだと自らを暗示にかけたかった。また、「できるのがわかったんだから、いつやめてもいいじゃない」と、私を気遣っていってくれた親友の思いやりの深さにじーんでした。そして私自身が、来る日も来る日もこう自問自答を繰り返しました。「なぜ、どうしてGSをはじめてしまったんだろう」と。濃い霧におおわれた白樺林を、両手を宙にはわせながら足元も危うくさまよい歩く自分の姿が、目の前にちらついたものです。ところがここにきて、その霧がぱーっと晴れ、あたりが不思議なほどクリアーになったのでした。

これは、神様のおぼしめしにちがいない。生まれも育ちも、物書き稼業が骨の髄までしみこんだ私に神さまが、べつの世界を教えようとしてくれたんだわと思ったときは、天にものぼるうれしさがこみあげてきたのでした。私にとって神さまは一人一宗教的な存在ですから、無神論者が作り上げた便利な神様です。物書き稼業が虚業とはいいませんが、飲食業のことが、わかりかけました。その意味でGSに関しては、これからが本番。三年がすぎ、いよいよ佳境にはいった感じがします。これからも、どうぞよろしくお願いします。