日本サッカーに拍手 ! 2010/07/01 

いいものを観せてもらいました、今回のサッカー。グリーンを激しく動き回るボールを目で追いながら、私の頭はあらゆる方向にフル回転。HPの更新文を書かなくてはならないのも忘れ、テレビの前で「これはなんだ! これはすごいぞ!」と、腕を組んでひとりで大はしゃぎ。選手たちの進化した技術が「やればできるんだ」を視覚的に証明してくれた一方で彼らは、プロスポーツ界にはあり得ない没個人のオーラを堂々と発揮。集団より個を尊ぶのをよしとするのが最近のわが国の風潮ですが、とんでもない。サムライという言葉が喚起する謎めいたイメージが、対戦相手を煙に巻いた。もしかしたらこれからの世の中、私たち日本人の魂にいきづくサムライズムが、世界の人々を説得する最強の武器になるのではないかしら。そうです、サムライジャパンの姿に、わが国の今後が隠されているような気がして観戦していました。

思えば8年ちょっと前のこと。2002年のワールドカップに向けて、『異端児トルシエ』という単行本を、角川書店から出したことがありました。翻訳本でしたが、当時まだ学生だった娘と悪戦苦闘。膨大な量の彼女の翻訳を私が仕上げて、1700円の本になりました。それはともかく、いい勉強になりました。あのころが、わが国のサッカー零年だったのかもしれません。

話がそれましたが、サムライジャパンの素晴らしさの秘訣は、結束力にあります。なにがあってもスクラム組んで、仲間を立てて派手な個人プレーをまったくしない。一人ひとりに危なげがなく、それでいて他国の選手によくある自信にみちた様子が感じられない。禁欲的にさえみえる無表情さが、ますます彼らを摩訶不思議な存在にした。あそこまでいくにはテクニックはもちろんですが、スピリッツが肝心です。スポーツだけにかぎったことではなく、政治にも経済活動にも共通していると思います。岡田監督が対戦相手の心理をどこまで計算していたのか、今週発売の週刊誌が楽しみです。