不確実性の時代 2010/09/01 

パソコンが不調でしたが、そのおかげで本が読めました。内心、それどころではないでしょうと思いながらも、これも神様のおぼしめしにちがいありません。一番の収穫が、20世紀を代表するアメリカの経済学者、ガルブレイスの『不確実性の時代』でした。文庫になった、30年も昔のベストセラーを再読したわけです。ところが、はじめて読んだときよりずっと面白かった。気になる箇所にはさんだ付箋の数が、若いころよりオバサンの今の方が高感度になっている証拠かも(笑)。一箇所、文中から抜粋してみました。歴女の私ごのみの19世紀、モナコのカジノでのお話です。

賭博
・・・賭博の社会学は、ほとんど理解されていません。男女を問わずたいていの人が、賭けをするのは金をかせぐためだと考えています。そして、いかにもそうした人がいることは確かです。しかし、金を損するために賭ける人も多いのです。前世紀には、これはたいへん重要なことでした。流行の先端をいく男女、つまりその判断によってとりわけある個人の社会的地位と評価を決定してしまうような人物は、夜になると・・・・。華やかに着飾って、彼らは隣りにある酒場をのぞいて歩き、賭けのテーブルのまわりにむらがりました。空前絶後といってよいほど多くの見物人が、惜しげもなく焼きすてられるほど金をもっていることを人に知らせたい人間のまわりに集まりました。・・・一万ドルか五万ドルをすったとしても、彼は見物人に自分がそれほどの金額を失っても平気でいられる人間だということをわからせたわけです。

経済学の名著が、あたかも歴史劇のワンシーンのように蘇ります。それにしても、現代の大富豪って、どんな人たちなのかしら?