ショパンの好きなショコラ・ショウ(ココア) 2011/2/15 

渋谷の試写会場で、「ショパン 愛と悲しみの旋律」を観てきました。ショパン好きの方は、ご覧になると断然いいです、おすすめです。ワルシャワからパリに亡命してから晩年までのショパンが、史実にのっとって描かれています。もっとショパンの曲が聴きたかったので、帰宅してCDをかけました。一緒に観た親友が、「あんなにわがままな男、私ならごめんだわ」といったのには笑えました。私はむしろ反対で、ショパンの寛大さ、忍耐強い性格が、よく出ていると思いました。ショパンに常識を求める彼女の意見に、なるほどと納得しながらも、ショパンの才能に無条件にひれ伏す私。このちがいがあるから、人間って面白いんですよね。

史実に即してなんて、そのまま映画のあらすじをいってしまったようなものですね。その一方で、映像の魅力が存分に味わえたことをお伝えしましよう。数々の名城があるロワール川の近く、ベリー地方の田園風景が圧巻でした。ノアン村のサンドの、瀟洒な館と花が咲き乱れる庭。居間や小部屋のインテリアも素敵ですし、調理場も食卓もなかなかです。とくにサンドの衣装は、ほれぼれするほど見事でした。ショパンが大好きだった、ショコラ・ショウと呼ばれるココアを、私もGSで作ることにします。もちろんパリの社交界のようすも興味深いですし、二人の愛の逃避行で知られる、マジョルカ島のようすも見逃せません。当時と寸分ちがわないオリーヴの大木や修道院が今も島に残っていて、観光スポットになっています。ショパン行脚の指南書として、この作品は成功です。そして私は、サンドの館の屋根裏部屋の棚にぎっしり並んでいた、彼女が息子のために手作りした、マリオネットの登場を心ひそかに待ちました。最後まで出てこなかったので、内心ホッでした。全国の映画館でかかるように、みなさん応援してください。