なにしても目立つフランス人

2011/9/1 

「目立つのは、いいことだわ。目立たなければ、だれにも認知されないじゃない。無視される屈辱に、私は耐えられません。だれかに見られていると思うから、背筋が伸びる。見られているから、美しくなりたいと思うわけよ。日本の女性が、フランスに憧れるのは当然です。フランス人男性はジャポネーズの瞳を見つめて、つぎに全身をじっくり眺める。見られることで彼女たちは、自分がとくべつな存在であると思うようになる。日本にいたら目立たないけれど、パリならたしかにジャポネーズは目立つわね」
以上は、歴代の恋人が日本人男性という、美貌のサラの台詞です。たしかに、無視されて嬉しい人はいませんよね。無視されたくはないけれども、目立ちたくないというのが私たち大方の日本人の本音ではないでしょうか。それにしてもロシアやアメリカ、中国や韓国、朝鮮などの外交筋にこう無視されては、国民としてプライドが許せません。新しい首相に期待したいことはいろいろございますが、国際社会でのわが国の存在を明確にしてほしい。まちがっても、各国から無視されるようなことがないようにお願いします。

前置きが長くなりましたが、今日は東京のフランス人のお話をしましょう。かつて欧米人を代表していたアメリカ人が、その地位をフランス人に明け渡したかのような気がします。居住者数ではもちろん、今もフランス人よりアメリカ人が圧倒。ところが少数精鋭とばかりに、フランス人のやることなすこと目立ちます。私が住んでいる神楽坂は、プチ・パリと称されるほどフランス色が濃い町なのでなおさらです。3.11の第一報で、まさに脱兎のごとく帰国した彼らも目立ちました。ほかの国の方も帰国したのに、あれ以来ことあるごとにフランス人ネタの話題がふえました。たとえば外国料理のA店が閉めた理由が、なんとフランス人が帰国して来なくなったからだとか。でもそれって、おかしいですよ。ご近所なのでわかりますが、A店のお客さまはほぼ日本人でした。まるで、風が吹けば桶屋のたとえのようで笑えます。まあ、日本人のブランド志向の恩恵に浴していた点もあるので、そのしっぺ返しだと思って納得。フランス人ゆえの、受難のエピソードでした。