「オ・ラ・ラ、ひどいなんてものじゃないわ」

2011/10/1 

欧州経済の危機が報じられ、1ドル60円、1ユーロが70円時代もありかといわれる今日このごろ。フランスはじめヨーロッパにご旅行なら、まちがいなく円高が見方してくれて楽々のはず。ところがご旅行から戻られた方が口をそろえて、こうおっしゃる。パリもロンドンもフィレンツェも、どこにいっても中国人ばかりだったと。そうですよね、私たち日本人も高度成長期に入ったころ、大挙してヨーロッパの主要都市に繰り出しましたもの。それに中国は人口がめちゃ多いから、おさら目立ちます。拙著の上海での発売も決まったことですし、こうなったら私たち日本人が培った海外旅行のノウハウを、中国のみなさまにお教えしちゃいましょう。話がそれましたが、欧州の人たちの暮らしに影響がありはしないかと思い、パリとミラノの親友に電話で聞いてみました。

「オ・ラ・ラ!ユーロに切り替わったこの10年、給料が減って物価が高騰だもの。どうやって暮らしているのか、まったくわからないわ。この夏はバカンスも半分にして、ずっと田舎の家にいたの。まるで学生時代のように、いつも倹約してる」「オ・ラ・ラ!」と口を横一文字に結んで、目をくりくりさせているマリオンの顔が目に浮かびます。古くからの親友で、パリで旅行関係の仕事をしている日本人女性も呆れ果てて、こんな話をしてくれました。「だってね、ヌーヴォー・リッシュたちが安売りスーパーで買い物してるんだからね」と。ヌーヴォー・リッシュとは、英語でいうニュー・リッチのことですが、とても説得力がありました。ちなみに円に換算して900円していたタバコが、ユーロ安の今は630円。タバコは来年早々、6%上がるそうです。最後にミラノのカルラは、「言葉でいえないほどひどいけど、これからもっとひどくなるわよ」日本の方が、まだマシかもしれないと慰められたようなものでした。