買う側から売る側へ

2011/11/15 

心配症ではない私ですが、日本製の行く末を案じております。パリを通り過ぎていったmade in Japanのことを思い出しました。わが国のモノづくりにたいする信頼を、失ってしまうような事態にならなければいいけれど。人間関係もそうですが、いちど失った信頼を取り戻すのは大変ですものね。

私が危惧しているのは、日本製の雑貨類や繊維類についてで、トヨタの自動車やソニーや東芝の製品のことではありません。わが国を代表する工業製品については、国内工場の空洞化とか円高で一時的に混乱しても、時間がたてば持ち直すと思います。私が太鼓判を押しても意味がありませんが、強気の裏付けは実績。戦後、ゼロどころかマイナスから着実に築き上げてきたノウハウは、そう簡単には崩れないでしょう。メーカーさん自身のプライドがぶれないかぎり、相対的に大丈夫。まあ、そこがもっとも肝心なわけですが。

問題なのは、安物にマヒした私たち日本人のモノに対する意識です。悪貨は良貨を駆逐するのたとえどおり、今、粗悪品が国内にあふれかえっております。作る側の物質観が侵されてしまって、果たしていいものができるでしょうか。安かろう悪かろうの日本製など、だれも買いませんわ。時代をさかのぼりますが、サン・ジェルマンの一角にMUJIのショップが出現したとき、たちまちパリっ子に評判になりました。その前に、おしゃれなオ・ボン・マルシェというデパートの地下の文房具売り場にキティ―ちゃんグッズがならんで、財布に余裕のあるマドモアゼルたちに受けました。繊維関係の見本市で、センスと機能性が抜群の日本製ソックスが、バイヤーの関心を買いました。私の記憶では、90年代のはじめごろでした。今も昔も日本製品の売りは、ひとえに品質のよさです。各国の大都市に進出しているユニクロさんに、くれぐれもお願いします。made in Japanの素晴らしさを、世界中に知らせてください。日本らしさは、価格競争より品質競争ではないですか?