GSのクッキー缶

2012/3/1 

アーモンドの粒が落ちないように、生地にしっかり埋め込んでていねいに丸めて天板にならべます。ブルターニュ地方はポンタヴァン村にあった、バターたっぷりのサブレを思いだして小型版を作りました。レモン陳皮を生地にまぜて麺棒で伸ばし、レモン型で抜いて卵の黄身を塗りましょう。花型のクッキーの真中で、ペリドットのような緑色のピスタチオが光り輝きます。春らしく、ピンクに染めた桜の花びらがあってもいいですね。葉桜というほどではありませんが、花びらの横に葉っぱを散らしてみました。オレンジピールを芯にして、かわいらしいオレンジの花が生まれました。バラの香りを練り込んだ生地をまん丸くして、グラニュー糖の入ったボールにころがします。天然のイチゴ粉でピンクになった生地とプレーンの二色を交互にずらして、冷蔵庫で固めて包丁で切れば市松クッキーのできあがり。硬目のパイ生地を適当に二等分して、ひとつにパルメザンチーズの粉をたっぷり練り込みます。もう一方を伸ばして、挽きたての黒胡椒をどっさりしいて、重ねてカット。金太郎飴の要領で作ったクッキーが、偶然の顔をのぞかせます。さまざまな色や形のクッキーにココアの黒いハートが加わり、缶が一段とシックになりました。

捏ねて丸めて伸ばして抜いて……。クッキー缶を仕上げる私は、いつしか無我の境地。それは海辺の町、神奈川の辻堂に住んでいた幼少期の記憶と重なります。2007年の初夏にGSをはじめて、ようやくここにきてクッキー缶が完成。宅配便の輸送に耐えるような、丈夫で可憐なクッキーたちの誕生です。これも一重に、GSのパティシエールさんたちのおかげです。この1月末にハッピー寿退社した裕子ちゃん、京都に帰った人気の麻乃ちゃん、そして楚々とした魅力の有佳理ちゃん、本当にありがとうございます。そして今、私と厨房にいるレイカちゃんは和菓子志望だっただけあり、捏ねて丸めるのがなによりも上手。今回は13種類でしたが、アイデアはまだまだあります。どうぞみなさん、GSのクッキー缶にご期待ください。