クラシックに開眼

2012/6/15 

物書きの私がGS(ジョルジュ・サンドという焼き菓子/軽食)をはじめたことで、わかったことがたくさんあります。読者さんが私に会いにいらしてくだされるのも、店というパブリックな場所があるからですもの。それに、GSをしていなければ気がつかなかったことがあり過ぎます。この5年で、飲食業のなんたるかもちょっとだけ知りました。食品の製造販売にはとくにいろいろあって、勉強になりました。情緒的な面ですと、クラシック入門も収穫のひとつでした。母が聞いたら、さぞやびっくりしたことでしょう。

なにしろ子供のころ、夕方になって姉がピアノの練習をはじめると条件反射のように私は、冷蔵庫を開けて夕飯の支度にとりかかったものです。耳栓があればしたかったですが、飛行機に乗るようになるまで耳栓は見たことありませんでした。でも、そのおかげで7、8歳で、きんぴら牛蒡とかグラタンとか、ふつうにお惣菜を作ってました。姉がピアノ、私が家事という役割分担はその後もつづき、今にいたってます。パリに住んでいて東京に一時帰国していた私のことを、5歳下の妹が彼女の娘たちに、こう説明していたのには笑えました。「そうそう、ヨーコはおしんだと思えばいいのよ」と。テレビで、「おしん」というドラマが人気だったころのことでした。

そんなアンチ音楽だった私が、CDをかけているのですから、人間は変わろうと思わなくても、変われるものでございます。自慢になりませんが、GSをはじめるまでは、一度たりともCDを自分でかけたことはありませんでした。耳型ではなく、目型。音楽的ではなく、どちらかというと絵画的だったはずの私がここ数年、音楽の魅力に開眼。突然の雷雨に見舞われたときには、ショパンの「雨だれ」をボリューム全開で聴いてます。いろいろな音がGSの内側で交じりあって、けっこう面白くなってきました。これからも、GSをよろしくね。