フランスにも「いじめ」がありますか?

2012/8/1 

またまた私の、深夜の電話かけまくり熱の再発です。たくさんの方から「フランスにもいじめがありますか?」と、たずねられたからでした。パリで生まれ育った娘に、いの一番に聞いてもみましたが、返ってきた答えはなんともぶっきら棒な一言でした。「いじめっ子も、いじめられっ子もいたけど、日本で問題になっているいじめとはちがう」と言い残して、私の質問に背中を向けて立ち去りました。そこで、電話リサーチを開始。それにしても、フランス人相手のいじめ談義が笑えました。いじめられた経験をリアルに語ってくれたビストロの経営者氏と、盗難被害者のママのお話をしてみましょう。

「オ・ラ・ラ! 世のなかに、あんな嫌な奴はいない。給食のお盆を持っているとぶつかってくるし、ひとりで歩いていると、「金出せ!」って脅された。だから僕は、5フラン以上は学校に持って行かなかった。狙われたのは僕だけじゃなくて、いつの間にか被害者連合ができたさ。中学を卒業して奴とおさらばできたときは、本当にうれしかったよ。あれから奴がどうなったかなんて、あんな悪魔みたいな奴は殺されていればいいんだ。まあ奴の存在があったから、どんな嫌な奴に会っても我慢できるよ」

「オオ・プフッ! 運動靴と電卓は、なんど盗られたかしれないわ。小銭入れ、鉛筆ケースetc.盗られたのは、たしかに息子が不注意だからですが、担任の先生にそういわれたときは腹が立ったわ。子供の持ち物が教室でなくなったからといって、母親から苦情をいわれる筋合いはないと先生がいいたい気持ちもわかるけど。運動靴がなくなるたびに夫は息子に、「盗られたら、盗りかえせ!」といって、頭を抱えて嘆いていたわ。パパにどなられてしゅんとしている息子に、でも私はこういったものよ。「あなたは盗ってはだめよ。盗っているところをだれかに見られて、もっとひどい目に遭うからね」って。子供が大人になるんだから、いろいろな人がいるはずよね。