アヴェク・ル・トン

2013/1/1 

今年の抱負を申し上げる前にケセラセラなんて勝手ですが、avec le temps(アヴェク・ル・トン)についてお聞きください。フランスを代表する歌手、レオ・フェレのヒット曲のひとつに、邦訳すると『時とともに』というのがございますが、それより沢田研二さんの『時の過ぎゆくままに』の方がぴったりする気がします。年頭から時の過ぎゆくままに……で、いったいどんな年になりますやら。堕ちていくのも…、なんてご免ですからご心配なく。昨年のこのページで宣言した出版目標が果たせなかった反省を込めて、今年は謙虚にアベック・ル・トン。人生、成るようにしかですもんね。これからは“ゆるゆる”でいきますよ。

“ゆるゆる”ついでに、今年はGSを、バリアフリーにしようと思います。かといって階段や入口の段差をなくするわけではありません。GSのキッチンとショップの、出はいりを自由にします。来てくださるのは今、このページをご覧になっているあなたか、私の本の読者さんですから知れてます。男性も大歓迎ですし、お子ちゃまもOK。お買い物がてら、あるいは見学だけでもGSのキッチンにお遊びにいらしてください。たまにはお教室もいいかなと思いますが、料理研究家ではない私がしたらお笑い教室になってしまうかも。エプロン持参なんて堅苦しいことは申しませんが、ヒールのある靴は危ないのでやめてね。

なぜ、こんなことを思いついたかというと、もし私がGSをしていなかったとしたらと、ふっと考えたからです。もしGSみたいな店があったら、もし私がGSのお客さまだったとしたら、ガラスの間仕切りの向こうの世界、なあんて大げさなものではなく、実際にお菓子を作っている場面を眺めてみたいと思ったにちがいありません。パリ時代、仕事でレストランや豚肉加工品専門店のシャルキュトリーやパティスリーを取材したときも、シェフの談話はそこそこにして私は、職人さんのいる作業場に入り浸っておりました。事実は小説より奇なりで、やっぱり現場が面白いですもの。“ゆるゆる”の真意がいつの間にか、やりたい放題にすり替わってしまい、私の今年を予見しているようですわ(笑)。