男と女

2013/10/1 

岸恵子さんの恋愛小説以来、とかく熟年の性が注目を浴びて迷惑な話でございます。男と女である以前に、おたがいを尊重しあう人間関係が大事。そこで今日は、男女の友情についてお話してみましょう。年末出版予定の拙著の、さわりの一部を抜粋してみました。

男女の友情は、まちがいなく成立します。そして男女間の友情をはぐくむ秘訣があるとしたらそれは、経過していった時間を共有していたと思うことではないでしょうか。これを書いている今になってようやく、男女の友情の実態が解明できた気がいたします。あなたが20年後、30年後に異性の親友がいた方がいいとお思いなら、しばらくわたくしの意見に耳を傾けてください。たしかに若いころは、男女の友情はむずかしいと思います。真剣にひとりの男性を愛している時期に、恋人以外の男性と友情を深める余裕など、あるはずがありません。男性にしても、自分の子供を産んでくれるかもしれない彼女をほったらかしにして、ほかの女性と友情を深める気がなくて当然です。 結婚とちがって友情は、タイミングのよしあしでうまれるものではありません。男女の運命的な出会いが木綿の赤い糸で結ばれているとしたら、男女の友情は細くて透明なピアノ線でつながっていると思ってください。そして透明なピアノ線はときとしてこんがらがり、もつれて切れてしまうこともありますが、だいじょうぶ。セクスが目当てだった男女の仲は切れてしまったらそれまでですが、友情はいつでも修復可能。音信普通の期間が長くても、会えばたちどころに空白の時間が埋まります。 ただし大人の男女の友情の鉄則は、おたがいの家庭に関心を持たないことです。これから結婚するわけではないのですから、相手の生活力に期待しても意味がありません。テーブルを挟んで座っている時間を、公園を一緒に歩いている時間を大切にしましょう。

異性の親友とのおしゃべりの中味は、あくまでも具体的に。一緒に観た映画についてとか、一緒にいった旅行先で実際にあったことを語りましょう。愛や友情といったネタは、疲れるからやめたいですね。透明なピアノ線にぐるぐる巻かれた、大人の男と女ならではの友情のありがたさを、ぜひ周りの人たちに見せつけちゃいましょう。