パリのおみやげ商戦

2014/4/1 

仏蘭西コマーシャリズムといっては大袈裟ですが、最近のとくにパリの商魂の逞しさは相当なものです。といってもここで申しますのは、たかだかおみやげレベルの話で、フランスがなん十兆円規模の戦闘機や武器の、一大輸出国だということには触れません。パリを訪れる旅行者相手に食品からブランド品まで、ありとあらゆるものを売ってしまうフランス人のやり方に、当のパリっ子たちも眉をひそめております。その一方で外国人ツーリストの旺盛な購買力に、ただただ感心。卵が先か、ニワトリが先か。カワイイという言葉が、フランス語辞典に載りました。以前はエッフェル塔のキーホルダー系くらいしかなかったパリ土産に、たくさんの気の利いたカワイイ小物が加わりました。シャンゼのラデュレの店員さんが、「お菓子屋じゃなくて、雑貨屋で働いているみたい」といっておりましたっけ。

思い返すと、異変の予兆はフランスにもあったバブル期のこと。マレ地区に多く出現した、レトロでおしゃれな雑貨店がその走りでした。日曜日はショップが閉まるはずのパリで、マレ地区だけが例外的に日曜・祝祭日も営業を開始。80年代、イスラムのテロリストによる爆破事件が多発したりで、とかく暗いイメージだったマレ地区が、パリ有数のお買いものコースに変貌。そうです、パリのお土産物ブームの仕掛け人は、営利に敏感に反応するユダヤ系の人たちでした。私たち日本人の十八番だった団体旅行が今では、東欧から大型バスでやって来る人々やアジア系の人々に取って代わりました。そしてヴィトンの売り子さんがこっそり私に、こういったものでした。「ジャポネーズはお行儀がよかったわ」と。

団体旅行に関しては世界中で、まちがいなく私たち日本人がリーダーです。パック旅行やお土産も、私たちのニーズに倣って進化。「オ・ラ・ラ!すっごく割高なのに、外国のお客さまには小さな缶が売れるのよ」と、紅茶のKUSUMIの店員さん。パリ土産のキーワードとして定着した、小さくてカワイイも日本発。さてさて、海外旅行が得意な私たちですが、今度は外国からの旅行者を受け入れる側になるのですから思案時。買うより、売る方が難しいですもんね、知恵を出し合いましょうネ。