運動会をするわけじゃないから

2015/1/1 

GSで使っていたもの、飾っていたもののすべてではありませんが、自宅に搬入。ただでさえ狭い部屋に雑貨が押し寄せ、はからずも拙著で書いていることを実証する羽目になりました。荷物でぱんぱんになって、玄関が閉まらないほどでした。ところがどうして、無数の段ボール箱を前に、こう考えて膝をたたきました。「なにも、ここで運動会するわけではないのですもの、大丈夫。お茶が飲めて食事ができるテーブルがあって、座れる椅子があれば、それでいいじゃない」と居直る私。深夜、ベットに潜り込んでから、居間のがらくたが閉じた瞼の内側で悪戯を仕掛けるではありませんか。おかげで目が冴え、ガウンを羽織って居間に戻り、明け方までごとごと。ようやく落ち着くところに落ち着いて、納得の室内になりました。長いこと使っていなかったガラス戸棚の中の食器を洗い、ところどころに配してあった、焼けて変色したレースを思い切って漂白。白くならないにちがいないとあきらめていた黄ばんだレースが、数時間で真白くなったのは驚きでした。以心伝心は人だけでなく、物にも通じるようです。行き当たりばったりに集めた小物をぎゅうぎゅうに隙間なく並べると、不思議と様になってきました。玉石混交で、かっぱ橋で買ったステンとパリで買った銀無垢のスプーンがごっちゃになって、なんともいえない雰囲気を醸し出してくれております。

今回GSの閉店で実感いたしました、捨てるのは簡単だということを。店が契約しているゴミ回収会社からもらう専用のビニール袋にぽいぽい入れて、捨てればいいだけです。でも、お客さまが「これ、素敵!」と言ってくださった、あるいは「これ、めちゃめちゃ可愛い」と誉めてくださった物は、そう簡単にポイ捨てできるものではありません。拙著で主張している、“秩序ある乱雑”でいくことにしました。深夜、静まり返った町の片隅の、小さな家の古い机の上に所狭しと並んだ陶器製のリンゴや銀器、食器を眺めておりましたら、こんなひそひそ話が聴こえてくるではありませんか。「これでもう私たち、二度と動かないですみそうよ。捨てられる心配もないから、心置きなく居眠りもお喋りもできますわ」と言ったのは、クリニャンクールの蚤の市をはじめて訪れたときに80フランで思い切って買った、大ぶりのピンクのポットでした。そうです、1979年の、秋口のことでした。次回の更新時に、私の思い出コーナーの写真をお見せしますね。それでは今年も、この頁と仲良くしてください。