パリに美しいマダムがいなかった?

2015/8/1 

数日前のことでした。パリにご一緒した学生時代の先輩のひとりが電話で、ポツリとこうもらしたのでした。「パリでさ、高校生ぐらいの女の子たちがすごくかわいくてびっくりしたけど、子供もね。でもさ、素敵なマダムっぽい女性、ぜんぜん見なかったな。きっと、どこかにいたんだろうけど、会わなかったよね」 たしかに。そう言われてみれば、そうでした。ドヌーヴもいなければ、ソフィー・マルソー系もゼロ。皆さんのイメージの中にいる“パリのマダム”は影も形もなかったと私も納得。なにしろ2003年以来の猛暑でしたし、すでにバカンス時期に突入していたパリの町から、マダム然としたフランス人女性は姿を消しておりました。そうそう、この私にしてからが在仏時代、7、8月にパリに残っていたことはございませんでしたもの。娘の学校が休みになるのを待って飛行機に乗り、東京に戻って仕事してましたっけ。真夏、パリっ子たちは、ヨーロッパの他の国から来るツーリストと、今は中国人に町を明け渡します。古いですが、そんなパリを詠った歌に、『八月のパリ』がございます。先輩の目に留まった中高生たちは夏休みとはいえ、親のバカンス休暇を待つまで外で遊んでいた子供たちだったのです。10歳までは、保護者なしで町を歩きまわる子供はほとんどおりませんしね。マダム不在のパリではございましたが、先輩たちは念願のパリ祭前夜の花火観戦ができたはず。花火自体は隅田川や神宮など、大江戸のそれとくらべるべくもありませんが、ただただ旅の思い出。ついでに申しますと、秋冬から春までのパリならマダムはひと目で超シック。でもそうやって、これから先も青春時代の記憶の延長のように、今回のパリ旅行のことを、なん年もかけて反芻する仲間がいるのはありがたいと思います。小規模でしたが、人それぞれが持つパリの感想が聞けるのが、グループ旅行のよさですわ。