森進一さん、よかったですね!

2015/8/15 

出たばかりの拙著の見本を読み返して、「面白い」と自画自賛。単純誤植がございましたが、重版で直しますからお許しください。それにいたしましても、人間はひとりでは生きられないという大前提を、もういちど確認しませんか?「ひとりが気楽だ!」なんて、恥ずかしげもなく、よく大きな声で言えるものですね。だれだってたまには、ひとりになりたいと思うことはあります。でもね、それを言ってしまっては、「アナタ、なんのために生まれてきたの?」でしょう。おまけに「家族がウザイ」だなんて罰当たりな、親がいなくて生まれてきた人はいないのよ。『70年談話』はどうでもいい、それより危ない『日本亡国論』ですわ。氷山の一角の三面記事をあげつらって、家族の近親憎悪から事件が生まれるとは何事でしょう。そうじゃなくて、それが人間社会なの。サル山にも、主権争いがあるんです。有名人がおっしゃる戯言を真に受けないで、私たちは家族を、友を大切にしましょう。それに比べたら森進一さん、よかったですね。「ひとりで食べても美味しくない……」の方が、だんぜん説得力ありますよ。どうせ死んだら、いくらでもひとりでいられるのですから、今をしっかり生きましょう。森進一さんとGFのハッピーが、長く続きますように心からお祈りしてます。『港町ブルース』、『年上の女』、昭和の名歌ですもんね。

ひとりで気楽に生きたいと思うくせに「モテたい」とか、お店で「おひとりさまと言われたくない」とか、だから人間らしいともいえますが、呆れます。それでも「ひとりが気楽」といいたかったら、小さな声で、はにかみながらにしてください。そもそも「孤独を愛する」と「ひとりが気楽」は、ニュアンスがちがいます。後者を真顔で言ったら、日本以外では変人扱いされるのがおちです。<岩様の子どもの本>シリーズに私が大好きな『花のすきな牛』というのがあります。主人公の牛のフェルディナンドは、他の子牛たちのように牧場を走り回らないで、大木の下でひとり花の匂いを嗅ぐのが好きでした。そんな息子のフェルディナンドのことを母親が、心配することから物語がはじまります。息子が変人になりはしないだろうかと、不安を募らせる母親の気持ちが伝わります。「ひとりじゃないって、素敵なことね」、鼻歌交じりにコレを書いてます。晩夏を楽しみ、秋を待ちましょう。