diary日 記 2016 / 01 / 15

「外国人によろこばれるお料理」

たまたまですが、年末年始に外国のお客さまが重なりました。カナダのケベック州からの若い男性と、もうひと組はブルゴーニュ地方在住の日仏カップル。ケベックは、歴史的にカナダの中のフランス。カナダは英語圏ですが、ここだけは公用語がフランス語で、ケベック人のことをケベコワンと呼びます。1492年、コロンブスがアメリカ大陸を発見したのを皮切りに、欧州の列国が競って大陸に入植。『モナリザ』をルーヴル美術館の所蔵作品の第一号にしたフランソワ1世の命令で、探検家のジャック・カルティエが彼の地を踏破して以来、カナダでもケベックは脈々としてフランスなんです。そうそう、『タイタニック』の主題曲を歌ったセリーヌ・ディオンがケベコワン。もう一組の日仏ご夫妻は、熟年結婚のススメを説く私が太鼓判を押すご良縁。男爵の名門に育った彼は、正統派でありながら面白いフランス人。飲んで食べて、送りがてら夜の神楽坂を散策したときのことでした。立ち寄った料亭さんの女将のご好意で、新年の正装をした芸者さんをみせてもらいました。すると「こんなに美しい女性に会ったの、生まれてはじめて。僕はフランスに帰らないで、ここに残る」の彼の宣言に、私たちは爆笑。それでは、とくに好評だったお献立をご紹介。パリで友人をもてなしていた、過ぎし日の記憶が蘇りました。

フランス人にかぎらず、外国のお客さまに喜んでいただくための心得が、ふたつございます。心得1は、食材を活かして彩りの美しいお料理を選ぶこと。誰だって、自分が食べているものがなんなのか知りたいですよね。ですから、当たり前のようですが、食材そのものを大切に説明しやすいお料理を選ぶこと。たとえば、なにが入っているか分からないようなごった煮より、素材がわかるお煮しめがいい。赤い人参、緑のいんげん、白い山芋、不思議な食感のこんにゃく、フランスにはない牛蒡や高価な乾燥セップ茸のような干し椎茸、真っ黄色の銀杏も外せません。次の心得2が肝心で、素材の持ち味を活かした甘目が秘訣。いつもの味付けより、お砂糖を多目に。かつて胡椒を求めてさまよった人たちの末裔ですから、山椒やワサビも話題性があってグッド。甘さの締めくくりのデザートに、私はよくわらび餅を作ります。黄な粉は外人が信奉する、SOJAですから一石二鳥。スーパーに並んだわらび粉の袋の裏の作り方に従えば、ものの5分で作れます。そうですね、たしかに和食は世界一美しいお料理ですわ。外人が好む和食初級講座のご拝聴、ありがとうございました。