diary日 記 2016 / 12 / 01

「 ますます日本がおもしろい」

最近になって、「これはスゴイことになってる!」といった、不思議な思いにとらわれることがよくあるんです。不思議だといいながら、その理由ははっきりしてます。生活の拠点をパリから東京に移してからずっと同じだった美容院を、表参道に変えたからなんです。といっても、長かった髪をバッサリ切って気分が変わったとか、よくいう心境の変化でヘアスタイルを変えたわけではありません。イメージチェンジを図ったわけでもなく、いつも通りの平常心。ただ、たびたび訪れるようになった表参道で、まるで広角レンズを覗いているような感じであたりをきょろきょろ。名前は聞いたことがあるだけのFlying Tiger、フライング・タイガーを見学。帰宅してPCで検索して、コペンハーゲン発の雑貨屋さんだったのかとふむふむ。しばらくして、要は100円ショップの延長よねと納得。お値段はどれもリーズナブルですが、本当に買いたいものがない。見ていてつまらなくはないんですが、早い話がヒマ潰し。そして、はたと気がついたことがありました。当たり前なんですが、Flying Tigerにいるのは、日本人の女の子たちとアジア系の観光客だけで。表参道は欧米からのガイジン集中地区ですが、そうですよね。彼らは東京に来てまで北欧雑貨、欲しくないですもんね。

そういえば10年ほど前、親友の紹介で知り合ったイスラエリアンを浅草寺に連れて行って、がっかりさせたことがありましたっけ。神楽坂で焼き菓子屋のジョルジュ・サンドをはじめる前でしたから、東京に仕事で来ていたガイジンのために観光案内を買って出る時間的な余裕があったわけでした。で話を戻しますと、がっかりさせてしまったことに気づいて急遽、そのとき思い立って浅草から銀座線で一本の表参道に河岸を移しました。すると件のガイジンが私に、「ヨーコ、僕は東京で、こういう町に来たかったんですよ!」といって狂喜したのでした。そのことを思い出しながらコンビニに目をやると、いるじゃないですか。コンビニが用意した屋外のテーブルの前に立って、美味しそうにアイスクリームを食べている、ちょっと見40代ですが、よく見ると20代の赤毛のひげもじゃ青年。その数メートル先にガイドブックの『ロンリー・プラネット』を開いて、東西南北を確認している、やはり北欧系とおぼしきガイジンが。そこで、またしても私の不思議が発動。なぜお嬢さん方、「May I help you?」とおっしゃらないのかしらと。ほんとうに困っている風のカップルに声をかけましたら、「オゥ・サンキュー、近くにスシはありますかか?」暮れなずむ街角で慌ててポケットから携帯を取り出し、彼らの質問に答えるために、数分前に見送ってくれた美容師さんに「この近くに、回転寿司あるかしら?」と私。そして、彼が教えてくれるままに、スマホ片手に「信号を渡って…」と説明。世界中の安心安全が集まっている、「日本に万歳!」の気分でした。