diary日 記 2017 / 01 / 01

「 ベランダに椅子とテーブルを置きました。」

新年早々に私事で恐縮ですが、昨年、引っ越しました。都心の狭小戸建てから、マンションに移りました。数百メートル離れただけですが、商業地区から住宅地に変わりました。今、こうしている深夜、私のキーボードの音しか耳に入りません。以前はお隣の焼き鳥屋さんの匂いとか、カラオケが聞こえてましたのに。カラオケに関しては、毎晩、同じ声のお客さまが、同じ個所で間違えていらしたのには笑えました。それが今では、まるで志賀高原みたいなんです。<主婦の友社>さんの次作が実現したのも、ある意味で私の生活のステージが変わったからです。<家の光協会>さんで出していただいた『人生後半をもっと愉しむ フランス仕込みの暮らし術』 に載っている写真がはからずも神楽坂時代の私の卒業アルバムになり、次作の<主婦の友社>さんの『徹底してお金を使わないフランス人が知っている本当の贅沢』で、マンション生活がスタートしたわけです。ところ変わって品物も変わって、私の気分も変わって、カメラマンさんの感性もちがい、まったく別の作品になりますからご期待ください。築30年のマンションなので、全体にセピア色しておりますが、こちらが一目惚れしただけあってGoodです。この先200年は怪しいですが、50年ぐらいは軽くクリアしそうです。写真をご覧になったら、「えっ、ここが新宿?』ときっとお思いになることでしょう。

今回のマンションにベランダがあったので、通販で木製の椅子とテーブルの三点セットを買いました。ベランダといっても広くありませんが、座ってお茶を飲んだり読書もできます。屋外用の三点セットの安さに驚いて、1クリックで買ったもののお値段はうら覚えですが、たぶん6千円ぐらいだったような。しばらくぶりに用事があってやって来た娘がベランダの三点セットに気づき、こう申しました。「あら、いいじゃない。そうそう、ジュリアのママがベランダのあるアパルトマンに引っ越して、コレ、買ったよね。誰かが椅子に座ったら、人が通れないぐらい狭いベランダなのに、コレ置いて、すごく喜んでたの覚えてる。フランス人って、こういうの好きよね」と。フランス人の真似をしたつもりは毛頭なかったのですが、娘にそう言われて、「たしかに……」と頷いた私。郡山の友人から届いた深紅のシクラメンをテーブルにのせて、椅子に座って眺めながら、大きく息を吸ってみました。20年のタイムラグをまたいで、とっくにおばあちゃんになっているジュリアのママとベランダ三点セットに寄せる思いを共有できた気がしました。先ほど、シクラメンに水を上げていたら、お隣のマンションに住んでいるフランス人のTさんから、「Yoko、ボナネ!」と声がかかりました。秋口にベランダ越しにお友だちになったTさんの、お正月のご挨拶でした。良いという意味のボンと、年を意味するアネが一緒になってボナネになります。陽が差して暖かくなったら、彼女を誘ってベランダでお茶をしようと思います。あなたもぜひ、ベランダに椅子を出してみてくださいな。それでは今年もどうぞ、このページをよろしくお願いしますね。