diary日 記 2017 / 09 / 15

もう、ためらっている余裕はありません。

高校生の私のあだな、「せっかち」でした。信じていただけないでしょうが、ものすごくおとなしい女の子だったんですよ。おとなしかったけど、いつもせかせかしていて、当時、TVでやっていた「せっかち姉や」というドラマの題名から取って呼ばれてました。毎朝、学校に一番乗りで勉強しているのに成績に反映されない、ドジでストイックな35キロ。ところがですね、女子高から大学に入ったら一挙に態度が大きくなりました。でも、まだまだ、言いたい放題はナシでした。「謙譲の美徳」という言葉を叩き込まれ、戦中派の面倒くさい父親を見て育った私たちって、前世の遺物みたいなところありますよね。たとえば、思っても言ってはいけないこととか、そこら中に散らばっていた。ところがこの秋から、生活態度を改めることにしました。もう私には時間がないんだから、遠慮している場合ではないと。自らを鼓舞して、ためらわない覚悟でいかなくちゃ。「いいじゃないの、幸せならば」とか陽水さんの「行かなくちゃ」を口ずさんでみたり、古いですね。

思いついたら即行動は、私だけではないようです。電話で近況を話しているうちにする会う約束の日が、早い時期に決まるようになりました。「そのうち」がないかもしれないから来週いかがとか、この機会を逃したら一生会えないかもしれないと思う気持ちが一瞬、脳裏をかすめるわけです。ところが、こうした危機感にも似た思いって、見方を変えると実に前向きなんですよ。先週、トゥールーズ→カルカソンヌ→モンペリエ→コート・ダジュール→コルシカ島→シチリア島→ミラノ→最後がフィレンチェといった至極のコースでご主人さまとご旅行していらした友人から、珍しいお土産をたくさんいただきました。現地でしか入手できない貴重なお土産を愛で、うっとり眺めているうちに想定外の動作がひらめいたんです。プロヴァンス模様の木綿の袋に詰まった、ラヴェンダーのポプリの香りに浸るまではいつもしていることですが、今回は部屋に入ってベッドの枕元でポプリをよく揉んで、ぱんぱんと叩いてみようと思ったんです。だからなんなのと言われてしまったらそれまでですが、以前の私ならラヴェンダーのポプリは引き出しに入れるとか、玄関に置くとか、使い方はどちらかというと静でした。ところか今回はラヴェンダーのポプリに、ぱんぱんと能動的な行動に出た自分を、あっぱれだと思っているもうひとりの私がいるじゃないですか。気持ちにエンジンがかかって、うれしくなって、ついでにもうひとつ。先回のフランス旅行で色ちがいで買ったままになっていた、ヴェルサイユ近郊の「トワル・ド・ジュイ」の生地からベージュを選んで、仕事机に敷くクロスをミシンで縫いました。表面ツルツルの机にしてしまったので、パソコンのマウスが作動しないんです。市販のマウスパッドは味気ないし、自分好みの布製のマットを作ることにしてます。好きな色を選んで生地を二重に縫って、キーボードの下に敷きます。机に同じタイプのパソコンを2台並べているので、サイズを計ったら横120㎝縦48㎝でした。フランスらしい牧歌的な古典模様の二重クロスの上にキーボードとマウスを置いて、世界で私だけの贅沢な時間を満喫してます。開け放した窓から忍び込む、鈴虫の競演をBGMに、「トワル・ド・ジュイ」の布の上のキーボードに手を置いて、満足・満足。