diary日 記 2018 / 04 / 01

オニグラ作りの日々でした

「さすがに暖かくなって作る気がしなくなりましたが、先週まで、オニオングラタンばかり作ってました。なぜかといいますと、玉葱をたくさん買っていたからです。懇意にしている八百屋の『平井』さんが店舗の建て替えのために、1.5㌔ほど離れた仮店舗を作ってお引越し。数か月後には元の場所に戻っていらっしゃるのですが、野菜の重さを思うと仮店舗まで行く気がしません。以前から配達してもらっていたのですが、遠くなった分、量をたくさん頼まなければという気になったからでした。だって、少ない量でバイクや自転車で運んでもらうの、気が引けるじゃないですか。かといって電話注文ですと店頭に並んだお野菜を眺めているわけではないので、「あら、そのワサビ菜いいわね」とか「セリも入れておいて」にはなりません。グレープフルーツとか金柑とかリンゴ、トマトやキャベツ、人参、ゴボウやカボチャといった定番は思いつきますが、それでは金額的に持ってきてもらうに忍びないです。電話の途中で「今、だいだいおいくらになってます?」なんて聞いたりするわけです。そこで思いついたのが、玉葱でした。レタスやキャベツより、買い置きしてもいたまない玉葱をまとめ買い。20個とか30個とかお願いした挙句、キッチンでせっせせっせとオニオングラタン作りに励んだのですから笑えます。オニオングラタンを略してオニグラと呼ぶそうですが、フランス人にはぜったい通じませんよ。そもそもオニオングラタンといわずに、グラチネ・ドニョンやスープ・ドニョンなのですから。パリ時代、ビストロのメニューにそれがあると、率先して注文。現地での私の料理行脚のひとつが、オニグラでした。自慢ついでにこれから、極上オニグラの作り方をお教えしますね。折角なら寒いシーズンの方がよかったですが、ごめんなさい。エミール・ゾラの小説に出てきそうな、19世紀風のとびっきりオニグラをお試しください。

ご用意いただくのは、玉葱とサラダオイル少々、使い慣れたコンソメとクルトン用のパンと焼く用チーズです。私のレシピでは飴色の玉葱に水を入れないので、仕上がりは超濃厚。玉葱の皮を剥いて繊維に垂直にカットして、サラダオイル少々入れて火にかけた大きなお鍋にどんどん投げ込みます。投げ込んでは木べらでゴロゴロ回して、また皮を剥いてカットして投げ込みます。涙は出ますが、同情はご無用。手を動かしながら、オニグラとは無縁のよしなし事に思いを馳せます。たとえば「あったあった、80年代中頃まであった見世物小屋」という具合に、ヒュー・ジャックマン主演の『グレイテストショーマン』のことを考えてました。玉葱を飴色に炒めるコツは、ほっぽっておくことなんです。つまり焦がしのテクニックで、焦げた部分が玉葱から出る水分と相まってトロリ飴色の濃厚なスープのできあがり。耐熱のカフェオレボウルが理想的ですが、熱々を入れてパンを浮かべてグリエールチーズを乗せてオーブンでこんがり焼いてください。さてさて、玉葱の次は八百屋さんで、なにをまとめ買いすればいいのかしら?