diary日 記 2018 / 08 / 15

ミッション・インポッシブル

はじめの音楽を聴くと、テレビ時代の「スパイ大作戦」を私たち世代は思い出しますよね。今回の第6話はタイトルが「フォールアウト」なので、総集編なのかしら?原則、スタントマンを使わないならなお、トム・クルーズさまといえども体力的にアウトでは。なにがいいかといって、略してMIPの骨子がヒューマンドラマだという点で毎回ぶれてないですよね。もちろん「ありえなーい!!!!」ことの連続ですが、主人公ハントの一途さが最後は勝利するわけで、上質な娯楽映画だと思います。IMFといっても国際通貨基金ではなくて公的なスパイ組織で、ハントたち仲間が信頼していた長官が亡くなったのも、これで最後かなと思ったゆえんです。ハントが愛した元妻と、先回も登場した今の恋人がそっくりなところも、好みの相手に一貫性があって、男女を問わず愛されキャラかも。ストーリーは3個のプルトニウムをめぐって、後半はそのうちの2個を仕掛けた悪役に立ち向かう大立ち回りが見せ場。爆発したら全世界の半分が被ばくする危機的な状況が、パリ、ロンドン、ネパールのオールロケで現実味を帯びます。「トップ・ガン」ではじめて観てから30年以上たっているのですから、トム・クルーズはアスリートならゴールド・メダリストですね。

シリアスとアクションがらみで、舞台になったロンドンとパリが面白い。あの、第一回世界万博のために建てられた歴史的なモニュメントの、グラン・パレのガラスの天井を走り、転げまわってくれました。テロ組織の親玉の争奪戦では、ダイアナが事故死したセーヌ河岸の高速道路とパリ市の地下に張り巡らされている下水道など、パリ市内の要所、要所でカーチェイスが繰り広げられます。さすがF1ドライバー格といわれているだけの腕前もさることながら、ヘップバーンとケーリー・グラントの『シャレード』の名場面、パレ・ロワイヤルの回廊が登場するシーンあったりで、懐かしのため息。カルチエ・ラタンやマレ地区の細い道にトラックが走って両サイドの建物を壊す場面やロータリーでの衝突大事故はセットと特撮でしょうが、パリ好きには答えられない場面のオンパレード。移動したロンドンの上空写真に、実はびっくり。ビビアン・リーの『哀愁』で知られたウォータールー駅から、ロンドン・パリのユーロスター発着駅になったセント・パンクラス駅の赤レンガは昔のままですが、ロンドンがいつからマンハッタンのような高層ビルそびえる町になったのかしら。私もパリに行くたびに日帰りでロンドンも覗くようにしてますが、いつもユーロスターにしか乗らないので気が付きませんでした。こんな感じで今回のMIPはハラハラ・ドキドキに加えて、ロンドン・パリ旅行という素晴らしいおまけがつきました。それにしてもハリウッド映画って、往年の名作カットのチョイ使いがお上手だこと。その意味で★★★★★を上げようかしら。