diary日 記 2018 / 11 / 01

読書の秋

「読書感想文」というのが、秋になるとありましたよね。選ばれた生徒の文章が校内放送で流れたり、あるいは面白い本を読んでくれるのも楽しみでした。部活で放送部を選んでいたら、人前で喋るのがもっと上手になっていたかもと残念。早くも話が飛んでしまいましたが、今日のテーマは読書。それにしても昔は大人が子供たちに、なにかにつけて「本を読め、本を読め」としつこくいったものです。最近、そのセリフが聞こえなくなったのも当然で、大人たちからして本を読まなくなりましたもの。電車の一車両で探しても、本を読んでいる人いません。私も空席があると座って、まずスマホを点検してしまいますものね。本は片手で持って、ページを繰るときだけ両手を使いましたから、立ったままでも苦ではありませんでした。通学通勤の往復に週2冊ペースで読んだ文庫が、私の読書歴です。本は立ったまま読めますが、スマホは座った方がだんぜん楽。優先席の前にご老人が立っても、スマホから顔を上げない若者たちもいかがかと思いますが、スーツ姿でぶ厚いジャンプやマガジンを読むサラリーマンがいた昭和が、懐かしいですね。20年後は、どんな世の中になるのかしら。

ようやく本題に入りますが、最近、本を読むとボケないとテレビでいっていたそうです。めぐりめぐれば正論ですが、本を読み続けても私は自分がボケる気がします。今日も地下鉄の中で『銀河鉄道』のカムパネルラとジョバンニの世界に浸ってました。反対に、世の中に本を読んだことがない方で、かくしゃくとしているご老人もたくさんいらっしゃる。この夏、行方不明の2歳の男の子を単独捜査、発見してくれて一躍、時の人になった男性の、なんと光り輝いていらしたことでしょう。冷静な判断と直感を駆使しての人命救助は、まるで哲学に裏付けられているかのようでした。つまりはチコちゃんの、「ボーっと生きてるんじゃないよ!」が肝心なんですよね。それにしてもなぜ、人々はボケることを心配なさるのかしら。『お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人』がおかげさまで、『くらしの文藝』という、河出書房新社のかなりちゃんとした本に収録されます。これについては次回にお知らせいたしますが、現代日本人の特徴をひとつ上げるとしたら、心配性ではないかと思います。「人生百歳時代になったら、このままではやっていけないと思うと不安だわ」と、突然お上がいいはじめた根拠のない百歳時代の到来に、私たちは右往左往。心配するヒマがあったら、本を読んだ方がマシ。「本を読んでいるヒマがあったら、早く小説を仕上げろ!」と、働き者の神さまに叱られないようにしなくちゃね。