diary日 記 2019 / 04 / 15

お勝手は無法地帯

「使っていらっしゃる国語辞典、なんですか?」、「三省堂」や「小学館」の方も多いかと存じますが、私は「岩波」。以前は「広辞苑」でしたが、コンパクトなビニールカバーの『国語辞典』をパリに持って行って以来、今ので4冊目。なぜ急に国語辞典の出番かと申しますと今しがた、勝手という言葉を辞書で引いて納得したからです。絶対失敗なしで超スピード、見栄えがよくて美味しいかき揚げの作り方を娘に教えていて、あまりの我流を恥じつつも、ふっとキッチンを意味する勝手と、J・P・ベルモンド主演の『勝手にしやがれ』の勝手が同じかもしれないと思ったからでした。それが正解で、“ キッチンでご勝手にお作りください”でいいことを確信。ただし、プロの厨房とお勝手は微妙にニュアンスがちがいますが。話を戻して、かき揚げは冷凍庫と冷蔵庫にある買い置き食材で作れる、献立にうれしい逸品。先回のこの頁が移民労働者2世3世についての硬派ネタだったので、今回は肩が凝らないレシピものにいたしました。かき揚げといっても天麩羅の延長ではなく、「もう一品」感覚がグッド。揚げ物だからといってフライパンや大袈裟な天麩羅鍋でなくて、小ぶりなφ12㌢ぐらいの片手鍋が便利です。揚げ油は、小鍋に3~4㌢ほど注げば十分。一度に4つも5つもお作りになりたいなら、お鍋のサイズを大きくしてくださいね。φ10㌢ほどのかき揚げ2個のお材料は、ジャガイモ大1個、冷凍エビ10粒ほどと小麦粉少々、お塩ひとつまみ。このほかに乾燥桜エビ+玉葱、冷凍モンゴウ烏賊+サツマイモが相性抜群。ほかのお惣菜を作ったときに、南瓜やささがき牛蒡を少しだけかき揚げ用に取っておいて、冷凍しておくという手もありです。

まず、水を入れたボウルに、皮を剥いてマッチ棒の倍くらいのサイズにカットしたジャガイモを入れ、存在感が残る大きさにカットした冷凍むきエビを加えて解凍。水を捨て、ボウルに小麦粉とお塩を加えてスプーンでざっくり混ぜ、アバウトにまとめ半量を熱したオイルに浸る感じでぽしょり。薄いキツネ色になったところで、裏返してこんがり揚げて数分で完成。お懐紙があったら中皿に敷いて、その上に熱々のかき揚げをのせて食卓に。1回1個なので、はじめのひとつはご自分用、熱々の二つ目をお客さま用にしましょう。天麩羅には天つゆを用意しますが、かき揚げだけならそのままか、もしくはお醤油ひと垂らしがおすすめ。お酒を召し上がった後の〆なら、少量のご飯にのせてミニかき揚げ丼もおしゃれです。その場合は大急ぎで、調理酒とお砂糖とお醤油を煮詰めて濃い目の出汁をさっとひとかけ。七味を振りかけたら、一段とお味が引き立ちます。ささやかな工夫で、決まりごとに縛られない勝手な料理をエンジョイしましょう。