diary日 記 2019 / 09 / 01

別荘とメゾン・ド・カンパーニュのちがい

フランス人のことばかりこのページに書くと、私がまるでフランスかぶれのオバサンみたいですが、ほんとうはちがいます。自分の国、つまり日本のこと以外で私が熟知しているのがフランスのことなので、たびたび引き合いに出しているのはたしかですが。その根底にあるのは、こんなに素敵な日本という国に住んでいる私たちが、なぜクヨクヨしながら生きなければならないのかという疑問です。きっかけはインバウンドでもなんでもいいです、外国人観光客が絶賛する日本の田舎を再認識しましょうよ。そろそろ秋風が吹く季節にふさわしくありませんが、今日はメゾン・ド・カンパーニュについて考えてみたいと思います。「パリの人たちって、みんなメゾン・ド・カンパーニュを持っているんですよね」とよく聞かれますがYesです。ただし、それは正真正銘の田舎の家であって、皆さんがイメージする別荘にあらず。たとえば軽井沢や蓼科、御用邸がある那須などに匹敵する地域にあるセカンドハウスではありません。俳優や財界人でもないかぎり、たとえばニースやカンヌ、シャモニーやドーヴィルのような、だれもが知っているスノッブな土地に別荘を持っているパリっ子はいません。そもそもメゾン・ド・カンパーニュの目的は人間本来の姿を取り戻すために、自然に親しむことです。そこに親しい仲間を招きあう習慣があるのは、田舎の家の周辺にそもそもレストランもビストロもないから。友だちを呼んでBBQが定番ですし、幸いなことに飲酒運転を取り締まるポリスもいない山の中。フランスはわが国のような島国ではないので、海沿いのメゾン・ド・カンパーニュはとても稀ですね。

話がまたそれましたが、フランス人の田舎志向は自国が農業国であることの矜持でもあります。ジャン・コクトーと同じぐらい国民に親しまれている、マルセル・パニョルという作家がいて70年代に他界してますが、今なお人気があるので検索してみてください。邦題が『マルセルの夏』や『マルセルのお城』をご覧になると、フランス人のメゾン・ド・カンパーニュ観が百年前と今が同じであることに感心なさるはずです。『となりのトトロ』は永住型でしたが、秩父や飯能の人里離れた家屋なら最高のメゾン・ド・カンパーニュになりそう。北海道のニセコのように外国人の手に渡る前に、私たちのメゾン・ド・カンパーニュ計画実現のために、クラウドファンディングをたちあげましょうか。口で言うのは簡単ですが、PC音痴の私では無理ですが、秋の夜長の格好のネタになりそうですね。