「Tokyoの次なら悩む羽目にならなかったでしょうに、あんなに派手な開会式だっただけに、次期オリンピックの開催地に決まっているあなたのお国は大変ね」
「なにいってんの!!!! エンタメなら、パリよりロサンゼルスにおまかせください。世界中の人たちが憧れるビバリーヒルズやサンタモニカ、なんたってハリウッドだってL.A.よ。ご来場の方々に、西海岸トップのリゾート気分を味わっていただけますわ。時代がったパリの町の魅力は認めますが、パリっ子泣かせのオリンピックのようで、お気の毒。L.A.は広々としていて空気はいいし、豪華な大型ホテルがたくさんあって、窮屈なパリとは規模がぜんぜん違うのよ。ユネスコ文化遺産の密集地帯で、既存の建造物を見事に活用した【パリ五輪】とは対照的に、L.A.は太陽と広々なゆとり五輪だわ」
以上、ご近所にお住いのフランス人とアメリカ人、駐在員の奥さまたちの会話をザックリお伝えしました。たしかに、ParisとL.A.は対照的ですが、その前に東京があったことを考えると、まるで三段論法。おとなしく礼儀正しく、粛々と進行した前回のTokyoから今のParis、そしてL.A.に移行する三者三様の好対照を思うと、バッハ会長もなかなかですね。
The beginning is the beginning of the end. 開会式にもくろんでいたテロリストたちが厳戒態勢に怯んだとは思えませんが、視聴者の私たちのテロへの緊張感が忘却の彼方に押しやられたほど、フランス人らしい開会式でしたね。
開会式の演出は若手舞台芸術家のトマ・ジュリーさん(42才)、脂が乗ったというと陳腐な表現ですが、そんな舞台芸術家です。マリー・アントワネットが断頭台に引かれるまで過ごした、シテ島にあるコンシェルジュリーという重々しい建物から左岸に渡り3軒目のアパルトマンに長く住んでいたので、幕開きから親近感が湧きました。ギロチンを美化していると批判されたそうですが、だとしたらこんな裏話があります。コンコルド広場やパリ市庁舎前広場での処刑は、実は近世以来、場所取り業者がいて、パリっ子がお弁当を持って見に行くほどの娯楽でした。犯罪者が刑場で息絶えるまでもだえ苦しむ様子を見るのが、当時のパリ庶民の娯楽でした。ところがギロチン博士の発明により、ヴェルサイユから連れて来られた王族たちの頭が瞬時に飛んでしまったことに、観衆はガッカリだったわけですね。「パンが食べられなかったら、ブリオッシュを食べればいいでしょ」といってマリー・アントワネットは糾弾されましたが、このセリフをいったのは女王ではなく、思想家のJ.J.ルソーですし、ギロチンの美化とはお門違いな批判です。青いムッシュの出現に、一瞬誰かなと首をかしげましたが、ワインの神さまディオニソスでしたか。世論調査にあると85%の視聴者が成功票を投じたそうで、フランス第5共和政バンザーイ!!!!!