季節が巡るのは百も承知しておりますが、その時々で季節ごとに似通った気分が湧き出るものですね。
【ジョルジュ・サンド】という焼き菓子屋を、やっていた頃のことでした。9月2週目あたりに毎年のようにスタッフの女の子たちを連れて、パリ旅行に行ってました。親しくしている神楽坂の老舗、甘味処をしていた親友の「9月上旬は、真夏より売り上げが落ちるものなのよ」の一言に背中を押されての旅行でした。社員旅行の経費が出るほど売り上げていたわけでもありませんのに、自分がいかに商売に向いていない人間かを思い知った意味でも、大切にしておきたい記憶のひとつです。
今、この時期にかこつけてパリ旅行のことを思い浮かべたこと自体、そもそも自分がパリに行きたいのではないかしらと。「パリ五輪」の寸前に行って以来、しばらくご無沙汰しておりますしね。
昨年のことですが、「パリ五輪」の資金源、ルイ・ヴィトン・グループの総帥、ベルナール・アルノー氏がイーロン・マスク氏を抜いて世界の億万長者に躍り出ました。ローマ時代のフランスは辺境の地でしたし、大航海時代もスペインやポルトガルほど栄えていませんでした。英国が台頭してからは何かにつけて彼の地の後塵を拝し、いつの間にか農業国であることを矜持にして国際的に“生きる歓び”を謳歌する国という地位を確保。内情が身に沁む当人たちは「ほんとかな」と?マークを付けながらも、相対的に考えれば「そうかも、人生を謳歌しているかも」と納得。
「お金がないなんて、言わない。だって言ったとして、誰かがくれるとでもいうの?」と言って、唇を尖がらせるフランスの友人たちの顔が思い浮かびます。ちなみに今年の世界一の億万長者は、イーロン・マスク氏が返り咲きました。